極限環境微生物

 人間は、暑いところや寒いところ、あるいは高地など地球上のいろいろな場所で生活し、様々な環境に適応しています。

 では、微生物はどうでしょうか?微生物は、人間よりもはるかに優れた環境適応能力を持っています。ご存知の方も多いと思いますが、 現在までに、とても生物が生存できないような環境下(熱水、強酸性、強アルカリ性、飽和食塩水、高濃度環境汚染物質、超高圧等)でも 平気で(むしろこのような環境を好んで)生育する微生物が多数発見されています。

 このような極限環境に生きる微生物(極限環境微生物、または極限微生物)は、苛酷な環境で生育するためにふつうの微生物とは異 なった特殊な能力を持っています。例えば、アルカリ性環境で生育する微生物は、アルカリ性でよく働くセルラーゼ(セルロースを加水 分解する酵素)やプロテアーゼ(タンパク質を加水分解する酵素)を作り出します。これらの酵素は洗剤に添加され現在みなさんが洗濯 に使う酵素入り洗剤として利用されています。この外にも、極限環境微生物が作り出した酵素(極限酵素)などはいろいろなところに応用されています。

 私たちの研究室では、このような極限環境に生きる微生物が持つ優れた能力を、工学的に応用しようという方向で研究を行っています。  自然界から種々の才能ある極限環境微生物・極限酵素をみつけだし最新の遺伝子工学の手法を駆使して、その優れた機能を解明します。 そして、そのようにして得られた情報をもとに、タンパク質工学を応用することで、既存の酵素への優れた機能の付加・向上を目指します。 また、分子進化工学の手法を用いて、極限環境微生物による酵素機能の向上を図るようなことも行っています。

タンパク質工学

 遺伝子工学の技術を駆使し、変異導入した遺伝子や化学合成した遺伝子により、目的にかなった性質や機能を持つタンパク質を人工的に創り出す。 このような学問・技術が「タンパク質工学」です。


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